ここでは、DMサイズ(100×148mm)のサンプルデータを例に、illustratorのガイドライン機能を使った余白の作り方を紹介します。
illustratorでは、デザイン上の余白を設定する場合、直接的に「内側余白」という機能はありません。
ユーザー側でガイドラインを作成し、余白の設定を行う必要があります。
余白の作成はレイアウトデザインする時に、最初に設定しておきたいことの一つです。
制作物の機能性や作業効率を上げるためにも設定しておきましょう。
サンプルデータのダウンロード
ダウンロードデータはzip形式で圧縮されています。
zipファイルを展開しillustratorファイル(dm_template.ai)を開きます。
次に、サンプルデータに設定されているトリムマークと印刷用に余白について解説します。
トリムマークについて

illustratorファイルの四隅に「カギカッコ」のようなマークと、「十字」のようなマークがあります。
これをトリムマーク(またはトンボ)と言います。
トリムマークは、仕上がりサイズの上下左右に+3mm外側に設定されます。
印刷サイズのギリギリまで写真などを配置したい時は、印刷や断裁時のズレで元の用紙の白が見えないように、3mm外側まで余分にデータを配置します。これを塗り足しと言います。
また、外側3mmの余白は印刷後の断裁(断ち落とし)の目安でもあります。
仕上がりサイズ 100mm×148mmのDMの横幅いっぱいに写真を配置したい時は、100mm+左右の塗り足し6mmで幅106mmの写真が必要です。
印刷用の余白(ガイドラインについて)
レイアウトデザインをする際に、ガイドラインを活用すると余白を視覚的に把握できるのでおすすめです。
dm_template.ai を開くと、点線の枠が見えます。(サンプルでは赤い点線)
これがガイドラインです。
サンプルデータには、3種類の印刷用ガイドラインが設定されています。
- 塗り足し分を加えたガイドライン(断ち落とし)
- 原寸サイズの100mm×148mmのガイドライン
- 内側3mmのガイドライン
❶と❷は、わかると思います。
❸の内側3mmのガイドラインが何か?ということですね。
内側3mmのガイドラインは、印刷時のズレなどで切れては困る内容をそれより外側に配置しないためのマージンです。
文字などは3mmより内側に配置しましょう。
これらは印刷用データとして最低限必要な余白です。
illustratorの「ファイル」→「ドキュメント設定」から、断ち落としの余白を数値変更できます。
これはドキュメントの外側に設定される余白で、印刷会社に印刷を依頼する場合に使用する可能性がありますが、通常の用途で使用することはありません。
この後に説明するレイアウトデザイン用の余白は、見た目や機能性のための余白です。
印刷用の余白とは別物と考えましょう。
スポンサーリンク
レイアウト用の余白設定の準備
レイアウト用の余白を作る時は、ガイド用レイヤーを作るのがおすすめです。
サンプルデータ(dm_template.ai)では、以下のように設定しています。

レイヤーって何?という方は、illustratorのレイヤーの基本 表示する・分ける・追加する データを整理して使いこなそう! の記事で詳しく紹介しています。
illustratorのガイドラインを使った余白の作り方
illustratorでは、レイアウト用の余白はユーザーが独自に作成したガイドラインを目安に使います。
ガイドラインの作り方ですが、いくつか方法があります。
ここでは、長方形のオブジェクトをガイドラインに変換する方法を紹介します。
DMサイズは100mm×148mmです。
印刷用の内側のガイドは3mmに設定されていますが、余白3mmでは仕上がりが窮屈な印象になります。
もう少し余白が欲しいですね。
今回は、上下左右に5mmの余白を設定します。
ここでは内側5mmを全体の余白にしますが、必ずしも5mmにする必要はありません。
制作物のサイズやデザインによって調節しましょう。
任意のオブジェクトをガイドラインに変換する流れ
ドラッグまたは数値指定で任意のオブジェクトの作成
変形のウィンドウはメニューから配置位置を指定
「表示」→「ガイド」→「ガイドを作成」からガイドを作成
① 長方形ツールでオブジェクトを作成する
長方形ツールを選択しアートボード上でドラッグすると、長方形のオブジェクトが描けます。

5mmの余白を作りたいので、DMの原寸サイズから上下左右5mmをカットした90mm×138mmの長方形を作りましょう。
また、正確なサイズのオブジェクトを作りたい時は、数値入力してオブジェクトを作ります。
長方形ツールを選択後、「Option キーを押しながらアートボード上をクリック」(windowsは、Alt キーを押しながらクリック) で、数値入力からオブジェクトを作成できます。

ガイドラインの元になる長方形が描けました。
② 作成したオブジェクトの位置を合わせる
ガイドラインに変換するオブジェクトはできましたが、オブジェクトが正しい位置にありませんね。

作成したオブジェクトは90×138mm。
100×148mmのDMに上下左右5mmの余白をとりたいので、変形ウインドウからX軸:5mm、Y軸:5mmに指定します。
変形ウィンドウはメニューの「ウィンドウ」→「変形」で表示されます。

作成したオブジェクトがピッタリの位置に配置できましたね。
数値入力しても思った位置に配置できない時は、変形ウィンドウ内の基準点の位置が左上になっているか? を確認しましょう。
それでも位置が合わない時は、X軸とY軸の原点を確認します。

③ オブジェクトをガイドラインに変換する
オブジェクトが配置できたら、ガイドラインに変換します。
90×138mmのオブジェクトを選択し、メニューから「表示」→「ガイド」→「ガイドを作成」を選択します。

内側5mmにガイドラインができました。

このガイドラインをデザインの余白の目安として、要素をレイアウトしていきましょう。
スポンサーリンク
この記事のまとめ
Illustratorのガイドライン機能を活用した余白の作り方を紹介しました。
- 余白設定の重要性
余白を最初に設定することで、制作物の機能性や作業効率が向上します。 - 印刷用ガイドライン
印刷用データとして必要な3種類のガイドライン(断ち落とし、原寸サイズ、内側3mm)について説明しました。 - レイアウト用余白の設定
長方形ツールを使ってガイドラインを作成し、内側5mmの余白を設定する手順を具体的に紹介しました。
製作物の作業効率化にぜひ活用してください。
それでは、今回はこのへんで。