執筆:株式会社夢先案内人 鈴木 先生
掲載:フリーマガジン「ヒトネタVol.11」
※「ひとり広報」では、地域の専門家の方々にご協力いただき、コラムを掲載しています。
※ この記事は「ヒトネタVol.11」をもとに2025年度の内容としてリライトしています。
※ 2026年度の改定情報は発表され次第、更新予定です。
2025年度、最低賃金の全国加重平均は1,121円になりました。
前年からの引き上げ額は66円で、過去最大を更新。
そして、全47都道府県で初めて最低賃金が1,000円を超えています。
静岡県は63円増の1,097円(全国9位)です。
「自社の賃金は大丈夫なのか」と不安に感じている方は、まずこの記事で改定内容を確認し、記事後半の賃金チェック方法で自社の時給換算額を計算してみてください。
※この記事のデータは厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金改定状況」に基づいています。
2025年度の最低賃金は全国平均1,121円、全都道府県で初の1,000円超え
2025年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,121円に改定されました。
前年度(1,055円)から66円の引き上げは、1978年に目安制度が始まって以来の最大幅です。
引き上げ額66円は過去最大——前年の51円をさらに上回る
2024年度の引き上げ幅51円も当時は「過去最大」でしたが、2025年度はそれを15円上回りました。
都道府県別に見ると、最小の引き上げ額が63円(東京、神奈川など)、最大は熊本県の82円。
地方ほど引き上げ幅が大きく、地域間格差の縮小が進んでいます。
最高額(東京都1,226円)と最低額(高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円)の比率は83.4%で、11年連続の改善となりました。
静岡県は63円増の1,097円で全国9位
静岡県の1,097円は、東京・神奈川・大阪・埼玉・千葉・愛知・京都・兵庫に次ぐ全国9位です。
東海圏では愛知(1,140円)、三重(1,087円)に挟まれる位置にあります。
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全47都道府県の最低賃金ランキング【2025年度】
以下は、厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」に基づく全都道府県の最低賃金額(高い順)です。
| 順位 | 都道府県 | 最低賃金(円) | 引上げ額(円) | 発効日 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 1,226 | 63 | 2025年10月3日 |
| 2 | 神奈川県 | 1,225 | 63 | 2025年10月4日 |
| 3 | 大阪府 | 1,177 | 63 | 2025年10月16日 |
| 4 | 埼玉県 | 1,141 | 63 | 2025年11月1日 |
| 5 | 千葉県 | 1,140 | 64 | 2025年10月3日 |
| 5 | 愛知県 | 1,140 | 63 | 2025年10月18日 |
| 7 | 京都府 | 1,122 | 64 | 2025年11月21日 |
| 8 | 兵庫県 | 1,116 | 64 | 2025年10月4日 |
| 9 | 静岡県 | 1,097 | 63 | 2025年11月1日 |
| 10 | 三重県 | 1,087 | 64 | 2025年11月21日 |
| 11 | 広島県 | 1,085 | 65 | 2025年11月1日 |
| 12 | 滋賀県 | 1,080 | 63 | 2025年10月5日 |
| 13 | 北海道 | 1,075 | 65 | 2025年10月4日 |
| 14 | 茨城県 | 1,074 | 69 | 2025年10月12日 |
| 15 | 栃木県 | 1,068 | 64 | 2025年10月1日 |
| 16 | 岐阜県 | 1,065 | 64 | 2025年10月18日 |
| 17 | 群馬県 | 1,063 | 78 | 2026年3月1日 |
| 18 | 富山県 | 1,062 | 64 | 2025年10月12日 |
| 19 | 長野県 | 1,061 | 63 | 2025年10月3日 |
| 20 | 福岡県 | 1,057 | 65 | 2025年11月16日 |
| 21 | 石川県 | 1,054 | 70 | 2025年10月8日 |
| 22 | 福井県 | 1,053 | 69 | 2025年10月8日 |
| 23 | 山梨県 | 1,052 | 64 | 2025年12月1日 |
| 24 | 奈良県 | 1,051 | 65 | 2025年11月16日 |
| 25 | 新潟県 | 1,050 | 65 | 2025年10月2日 |
| 26 | 岡山県 | 1,047 | 65 | 2025年12月1日 |
| 27 | 徳島県 | 1,046 | 66 | 2026年1月1日 |
| 28 | 和歌山県 | 1,045 | 65 | 2025年11月1日 |
| 29 | 山口県 | 1,043 | 64 | 2025年10月16日 |
| 30 | 宮城県 | 1,038 | 65 | 2025年10月4日 |
| 31 | 香川県 | 1,036 | 66 | 2025年10月18日 |
| 32 | 大分県 | 1,035 | 81 | 2026年1月1日 |
| 33 | 熊本県 | 1,034 | 82 | 2026年1月1日 |
| 34 | 福島県 | 1,033 | 78 | 2026年1月1日 |
| 34 | 島根県 | 1,033 | 71 | 2025年11月17日 |
| 34 | 愛媛県 | 1,033 | 77 | 2025年12月1日 |
| 37 | 山形県 | 1,032 | 77 | 2025年12月23日 |
| 38 | 岩手県 | 1,031 | 79 | 2025年12月1日 |
| 38 | 秋田県 | 1,031 | 80 | 2026年3月31日 |
| 38 | 長崎県 | 1,031 | 78 | 2025年12月1日 |
| 41 | 鳥取県 | 1,030 | 73 | 2025年10月4日 |
| 41 | 佐賀県 | 1,030 | 74 | 2025年11月21日 |
| 43 | 青森県 | 1,029 | 76 | 2025年11月21日 |
| 44 | 鹿児島県 | 1,026 | 73 | 2025年11月1日 |
| 45 | 高知県 | 1,023 | 71 | 2025年12月1日 |
| 45 | 宮崎県 | 1,023 | 71 | 2025年11月16日 |
| 45 | 沖縄県 | 1,023 | 71 | 2025年12月1日 |
全国加重平均:1,121円(前年比+66円)
出典:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」
2025年度は発効日が都道府県ごとに大きく異なる——10月から翌年3月まで
2024年度までは、ほとんどの都道府県で10月1日前後に一斉発効していました。
しかし2025年度は事情が異なります。
過去最大の引き上げ幅に企業が対応する準備期間を確保するため、発効日が大きく分散しています。
最も早い栃木県は10月1日、最も遅い秋田県は翌年3月31日
発効日の幅は約6ヶ月です。
具体的に見ると、2025年10月中に発効するのは20都府県。
11月が10県、12月が7県。年を越えて2026年1月以降の発効も6県あります。
静岡県の発効日は2025年11月1日。10月1日からではない点にご注意ください。
経営者は「自社所在地の発効日」を必ず確認する
「最低賃金の改定は毎年10月から」という認識のままだと、自社の所在地では11月や12月から適用されることを見落とす可能性があります。
逆に、発効日より前に改定を行うことは問題ありません。
上記のランキング表で、自社所在地の発効日を確認してみてください。
派遣労働者を受け入れている場合は、派遣先(自社)の所在地の最低賃金と発効日が基準になります。
派遣元の所在地ではない点も押さえておきましょう。
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最低賃金の対象になる賃金・ならない賃金を整理する
最低賃金と比較する対象は「毎月支払われる基本的な賃金」だけです。
総支給額をそのまま比較すると、実際には最低賃金を下回っていた——そんなケースが起こりえます。
対象は「毎月支払われる基本的な賃金」
月々の給与明細に載る基本給や、毎月固定で支払われる手当が比較対象となります。
除外される4つの手当
最低賃金の比較にあたり、実際の支給額から差し引く必要があるのは次の4項目です。
- 臨時に支払われる賃金(結婚祝い金など)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
残業代・ボーナス・通勤手当などを含めた総額で「最低賃金以上だから大丈夫」と判断するのは誤りです。これらを差し引いた後の金額で比較する必要があります。
住宅手当は対象に含まれる点に注意
精皆勤手当・通勤手当・家族手当は除外されますが、住宅手当は除外されません。
住宅手当は最低賃金の比較対象に含まれます。手当の名称が似ているだけに混同しやすいので、正確に区別しておきましょう。
自社の賃金が最低賃金を下回っていないかチェックする方法
対象賃金がわかったら、次は雇用形態に応じた計算で時給換算します。
時給制——そのまま比較
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
時給制のパート・アルバイトであれば、支払っている時給額と最低賃金をそのまま比較するだけです。
日給制——1日の所定労働時間で割る
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額
たとえば日給8,000円、1日の所定労働時間が8時間なら、8,000円÷8時間=1,000円。静岡県の最低賃金1,097円を下回っているため、賃金の引き上げが必要になります。
月給制——1ヶ月の平均所定労働時間で割る
月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
月給18万円、年間所定労働日数250日、1日の所定労働時間8時間の場合で計算してみましょう。
1ヶ月の平均所定労働時間=250日×8時間÷12ヶ月=約166.7時間
180,000円÷166.7時間=約1,080円
この場合、静岡県の1,097円を下回ります。
前述の「除外される4つの手当」を差し引いた後の金額で計算することを忘れないようにしてください。
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最低賃金は誰に適用されるか——パート・派遣・試用期間も対象
最低賃金は、雇用形態を問わず適用されます。
「正社員だけが対象」ではありません。
雇用形態を問わず、すべての労働者に適用
地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく、その都道府県内で働くすべての労働者と使用者に適用されます。パート、アルバイト、契約社員、嘱託社員、試用期間中の社員も含まれます。
派遣労働者は「派遣先」の地域の最低賃金が基準
派遣社員の場合、適用されるのは派遣元(派遣会社の所在地)ではなく、実際に働いている派遣先の事業所がある都道府県の最低賃金です。
静岡県内の事業所に派遣されている労働者なら、派遣元が東京であっても静岡県の1,097円が基準になります。派遣を利用している企業にとって盲点になりやすいポイントです。
発効日までに経営者がやっておくべき3つのこと
改定内容と計算方法を理解したら、あとは具体的に動くだけです。
①全従業員の時給換算額を一覧化する
まず、パート・アルバイトだけでなく月給制の社員も含めて、全従業員の時給換算額を一覧にしましょう。前述の計算方法で、対象外の手当を差し引いてから換算してください。
この一覧があれば、最低賃金割れのリスクを一目で把握できます。
②最低賃金を下回る従業員の賃金を改定する
一覧化した結果、最低賃金を下回る従業員がいれば、発効日までに賃金を引き上げます。
最低賃金法に違反した場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
意図的でなくても違反は違反ですので、事前の確認は欠かせません。
③来期以降の人件費シミュレーションを更新する
今年の対応だけで終わらせず、来期以降の人件費計画も見直しておきましょう。
政府は「2020年代に全国加重平均1,500円」を目標に掲げており、毎年の引き上げペースが鈍化する兆しは今のところありません。
仮に毎年60〜70円ペースの引き上げが続けば、数年後にはフルタイム勤務者の月給換算で24万円程度が最低賃金ラインになる計算です。
人件費の増加を前提にした価格設定や生産性改善を、今から検討しておくことが現実的な備えになります。
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まとめ
- 2025年度の最低賃金は全国加重平均1,121円。全都道府県で初めて1,000円を超えました
- 静岡県は1,097円(全国9位、発効日11月1日)、山梨県は1,052円(発効日12月1日)
- 発効日が10月〜翌年3月まで分散している点が、2025年度の大きな特徴です
まずは全従業員の時給換算額を確認し、発効日までに最低賃金を下回らない体制を整えることが最優先です。
※2026年度の最低賃金は、例年通りであれば7〜8月に中央最低賃金審議会の目安が示され、10月以降に順次発効される見込みです。発表され次第、本記事を最新情報に更新します。







