執筆:株式会社夢先案内人 鈴木 先生
掲載:フリーマガジン「ヒトネタVol.14」
※「ひとり広報」では、地域の専門家の方々にご協力いただき、コラムを掲載しています。
今回は、60歳以上で年金を受け取りながら働いている方に知っておいてほしい「在職老齢年金制度」について解説します。
年金は「基礎年金(国民年金)」と「厚生年金」の2階建て構造ですが、60歳以降に老齢厚生年金を受給しつつ、社会保険の加入要件を満たして勤務している場合、厚生年金の額と給与・賞与の金額によっては、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となることがあります。
これを在職老齢年金制度といいます。
この制度は2024年4月に一部改正されているため、最新の内容を確認しておきましょう。
70歳まで年金の加入が必要
老齢厚生年金を受給している場合でも、一定の条件(社会保険への加入要件)を満たして働いていると、70歳までは厚生年金に加入し、保険料を納める必要があります。つまり、年金を受け取りながらも保険料を支払う状態になります。ただし、社会保険を喪失した後には、それまでに支払った保険料に応じて年金額が増額される仕組みです。
なお、70歳を過ぎると厚生年金への加入義務はなくなりますが、引き続き加入要件を満たすような働き方をしている場合には、年齢に関係なく在職老齢年金制度による年金の支給調整(減額)が行われる点にも注意が必要です。
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65歳になれば年金が受給できる、とは限らない

65歳になれば自動的に年金が受給できると思っていませんか?
実は、65歳以降も一定以上の収入がある場合、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止される可能性があります。
令和7年4月以降は、「年金+給与・賞与」の月額が51万円(※支給停止調整額)を超えると、厚生年金部分に支給停止が発生します。
ただし、基礎年金(老齢基礎年金)はカットされません。
特に注意したいのは、支給停止された年金は後から遡って受け取ることができず、消滅してしまう点です。
繰り下げ受給を選択しても、支給停止期間の年金は増額の対象外となり、受給額が増えることはありません。
老齢基礎年金には在職老齢年金の調整がされない
老齢厚生年金は在職老齢年金により調整されてしまう年金ですが、「報酬額が高いと老後の年金は一切受給できない」訳ではありません。
公的年金は基礎年金、厚生年金の2階建てになっています。
そして、在職老齢年金で支給停止がかかるのは、厚生年金だけです(経過的加算は支給停止がかからず、加給年金は厚生年金が全額停止とならない限り支給停止がかかりません)。
基礎年金には調整がかからないため、年金を受給できないと勘違いして受け取りの申請をしないままでいると、基礎年金を受給することができません。
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年金の一部または全額支給停止の計算方法
現在の在職老齢年金制度においては、年金との調整は①月例給与②賞与のみを使用しますので、それ以外の収入(不動産収入)等は調整の対象外です。
老齢厚生年金月額(加給年金額を除く)
その月の標準報酬月額※)+(その月以前1年間の標準賞与額※の合計)÷12
※標準報酬月額…健康保険や厚生年金保険の保険料や給付金などを算出する際に用いられる報酬の基準です。
※標準賞与額…賞与額から千円以下を切り捨てた額
上記の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が支給停止調整額に達するかで停止額が決まります。
在職老齢年金の支給停止調整額の推移
在職老齢年金の支給停止調整額は、毎年4月に改定されます。
ここ数年の推移は、令和4年度が47万、令和5年度が48万、令和6年度が50万、令和7年度は51万となっています。

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在職老齢年金、令和8年4月にも基準見直しの見込み
令和8年4月にも支給停止調整額の見直しがされる見込みで62万円に引きあげる方向で調整中です。
従来の計算方法による令和8年の調整額が52万円、老齢厚生年金の平均支給額が10万円弱であることから、シニア世代の働き控えを減少させることを目的として52+10=62万円となっています。
厚生労働省の試算では、基準額を62万円に引き上げると、働く高齢者への年金給付額は約2200億円増額され、その分、将来年金を受給する世代の厚生年金保険料を引き下がることができる点も見直しの目的です。
在職老齢年金は個人の年金額や、就業状況によって判断は様々です。
お困りの際は最寄りの年金事務所に相談してみてください。







